廃墟と自然



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • SumoMe
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旅行のパンフレットや旅番組なんかで、「素敵な自然を満喫できる」なんて宣伝文句をよく見かけます。リゾート地の売り文句なども同様ですね。素晴らしい自然に触れることが出来ます、ってな調子ですね。

でも考えてみてください。リゾート地って、多くの自然を破壊して作られる。ホテルを建てたり、整備された道を作ったり。ゴルフ場だって、緑の芝や木々がいっぱいで一見すると自然が豊富のようだけど、あれはほとんど人工的に、「自然」らしく見せかけて作り直しているわけですよ。人気のリゾート地とは、適当においしい空気やら緑があって、その合間の管理された小道なんかを通ると、「心地良い」のでしょう。ホテルの部屋に戻ると、蛇口をひねればお湯が出る、スウィッチをひねればエアコンが入る・・・。これらは自然の多くを破壊し、人間にとって便利で心地よく作り変えるわけです。

ホントの自然って、人間にとってどうしょうもなく不都合な部分がたくさんあると思います。わけのわからない爬虫類やらがうごめいているジャングルだったり、昼は草木も生えない灼熱で、夜はこごえてしまうほど冷える砂漠とか・・・つまり人間にとってきわめて厳しいのが自然だと思うのです。ですから命がけのつもりでないと、本当の自然とやらを感じるのはほとんど不可能だと思います。あるとするなら、それは不意に襲いかかる大災害のようなものかもしれません。

D.ランドとかいろんなテーマパークにホントの自然があるでしょうか。これらは全部人間がコントロールして作るものです。人間は、自分たちに都合良い「自然らしきものを」再生産しているわけです。それは人間の性のようなものかもしれません。

shimizusawa035

よく、旅に出て自然を感じたい、なんて台詞を耳にしますが、私が思うに人間はあまり自然を好きではない。もっと云えば、再生産された自然らしきもの、を好むのだと思います。でも少々利口な人々が完全に自然を破壊しつくすとまずいので、異をとなえて、制御を加える。それもまた知恵のひとつでしょうが・・・。

現在は、特に大きな都市部では、何らかの形で人間の手が加わらず、まったく管理されていない部分や空間は、ほとんど無いに等しいのではないでしょうか。でないと、そこは荒れ放題のエア・ポケットのようになってしまうでしょう。

では、廃墟はどうでしょうか?それは、かつて人間が作った。しかし、誰からも見捨てられ、ほったらかしになったからそれは荒れ放題の廃墟になったわけです。それは自然の摂理が襲いかかり、朽ちてゆく過程にあるもの。つまり完全に風化し、滅びる途中の経過を目にして、我々は廃墟と呼んでいるわけです。人間が作った建造物ではあるけど、そこには恐ろしい自然の猛威を目の当たりにする状態があるのです。廃墟は自然の摂理が無ければ、「廃墟らしく」はならないのです。

syoto040

廃墟は、人間が作ったのだけど、ある意味では自然がもたらす風化を感じ目撃することのできる、数少ない存在のひとつともいえるかもしれません。同時に人間も自然の一部であるのだと否応無く気づかされる存在だと思うのです。

だから私は廃墟を愛おしく感じるのかもしれません。

手作り時計作家KSカテゴリの最新記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。