香港の時計産業 その2



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日本やスイスに比べて少し変わっている香港の時計作りのお話の後編になります。それではどうぞ。

前回書きましたが、香港は非常に狭い。そのため比較的少ないスペースでできる腕時計生産は香港という街にフィットしたとも考えられます。加えて地層的に直下型の地震が発生しにくい土地のため、細長いビルが身を擦らんばかりに立ち並んでいます。つまり小規模な空間がそこかしこに存在した、そして現在も存在しているわけです。

当然・・・いや、必然といってもいいかもしれませんが、そういった細身のビルの一室でも、時計が生産されてます。私が香港に仕事で足繁く通っていた当時、こういったビルの一室で運営される所を含めて数えきれないほどの小さな部品屋さんや工場に訪問し、愛すべき町工場のおやじさん達や工員さん達と出会いました。

香港の時計工場のことを「アッセンブル工場」なんて呼んだりするのですが、これはつまりメーカーというより「組み立て屋さん」といった感じです。香港で時計生産が盛んになったと思われる理由を簡単にまとめると、こんな感じでしょうか。

――香港は自由貿易港で加工貿易に適している。
――時計生産はあまりスペースを取らず、比較的単価が高いので適していた。

上記の点に加えて、香港の人々が細かな作業に適応できたこと。それに比較的、時計製造の歴史を持つイギリス領であったということも関係あるかもしれません。

これらはあくまで私の想像ですが、いずれにしろ、世界有数の時計生産国であることは間違いありません。

そして私はこの香港で、時計組み立ての基礎的な手法や部品手配のノウハウを学び、日本で時計工房を起こしたわけです。もっとも、香港の生産手法をそのまま真似していても仕方がありません。私が学んだのは、あくまでも基礎構造や部品手配についてであり、それから後にホントの試行錯誤が始まりました。

スイスや香港、ドイツやアメリカにも、もちろんこれまでの日本にもない、つまり世界中のどこにもない、私だけの時計技法を探し求めてきました。そうして気が付けば、あれから30年余ほどの年月が経っていました。

その成果でしょうか。時々、香港のバイヤーさんやユーザーさんからも引き合いをいただきます。彼らは、まさか私が最初に香港で時計作りの基礎を学んだなんて知る由もないでしょう・・・。そして、これからもできうる限り、この探求の旅を続けたいと思ってます。

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