香港の時計産業 その1



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • SumoMe
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

このブログで私にとって香港は第二の故郷なんて話をしたことがあります。そう感じるのは私は香港の街並みが大好きであること。それに香港で時計作りの基礎を学び、のちに時計作家になるきっかけになった場所だから、というのが大きな要因になっています。また、香港で出会ったたくさんの人々が私にとって大切な友人となっていることもあると思います。

そんな香港で学んだのは、“時計作り”というより“時計の組み立て手法の基礎”といったほうがいいでしょう。香港の時計工場に出入りしながら、時計の構造や生産手法を学びました。
現在は中国に返還された香港ですが、ひとつの国と考えると、日本、スイスに続いて世界第3位の時計生産国となっています。東京の世田谷区くらいしかない小さな所なのですが、この数字は驚くべきことです。なぜこんな小さな街が、世界でも有数の時計生産国になったのでしょうか?

これは私の想像ですがまず第一に、香港は自由貿易港だということが挙げられると思います。日本は、大きなメーカーが一貫して時計を量産するというのが特徴です。また、昨今では合理化された大きな生産工房もありますが、スイスはもともと職人さんたちの世界で手作業中心の比較的高額な高級時計が主流です。

そんななかで香港は日本やスイスとは少し違う生産構造を持っています。香港時計産業の特質は部品の分業化が顕著に進んでいること。香港には時計文字盤だけを作っている文字盤メーカー、針だけを作っている針メーカー、時計バンドだけを作っているバンドメーカー・・・などなど、時計を構成する各部品のメーカがたくさん存在しています。そのほとんどは町工場という雰囲気の小規模なもので、無数の部品屋さんがひしめき合っている感じです。

香港で時計メーカーを始めようとする場合、このような部品屋さんからケース本体や、文字盤、針などの各部品を仕入れ、さらにムーブメントは主に日本やスイスのメーカーから輸入して、それを組み立てて完成品とすることになります。そして販売はそのほとんどを輸出することとなります。ある意味で加工貿易です。香港は自由貿易港ですから、ムーブメントを輸入した場合の保税手続きなどが不要なため加工貿易には適しているのです。ある意味、もっとも合理的ですね。そしてこの合理性が時計の生産を大きく伸ばした要因と考えられるのです。

どうでしょうか、香港の時計産業のことを少しはお分かりいただけましたでしょうか?
少し長くなってしまいましたので、この話題は次回に続けたいと思います。

手作り時計作家KSカテゴリの最新記事

日本手作り腕時計協会JHAカテゴリの最新記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。