「美しい時計」とは?



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皆さん、本当に「美しい時計」とはどんな時計なんでしょうか?

トゥールビヨンを搭載した複雑時計、ギョーシェ彫りや深みのあるエナメルの文字盤のスイスの高級腕時計でしょうか?

いえ、それもいいけど、私には愛くるしいデザインやカラフルカラーのスウォッチが美しいと思える時があります。

50年以上前に作られ、誰かに長い間愛用され、文字盤の色が褪せたアンティークウォッチもとて美しい。

また日本メーカーの、アラーム、ワールドタイム、気圧計、デジタルコンパス機能などなど、いったい誰がこんな機能使うのか、と思えるような高機能を搭載し、それでいて価格もリーズナブルなデジタル時計も、「美しい」と思う。

人が感じる「美しさ」はさまざまである。それだけ腕時計の種類や価格帯、デザイン、コンセプトは多くのバリエーションにあふれています。

私は、もちろん時計専門雑誌を買うことが度々ある。けれど、こういった時計誌に掲載されている時計デザインを自分の作る時計の参考にすることは皆無に等しい。こんな雑誌を見ているときの自分は一人の「時計ファン」としての眼で観ている感じが強い。 つまり製品としての時計から自分の作る新しい時計のインスパイアーを受けることはほとんど無い。あるとするなら、それは真似になってしまうでしょう。

私がインスパイアーされることがあるのはSF映画やアニメなんかが多い。特にこういったコンテンツに登場するメカの一部なんかに影響されることが頻繁にある。 そのせいか、私の作品には、デストピアの世界感に影響を受けたような作品が少なく無いように思う。

1516498114712260
SF映画や廃墟にインスパイアーされた作品です

こういった、斬新なデザインっぽいのを作っていると、ふと思い切りシンプルな時計を作りたくなることがあります。

私はアーミー時計っぽいものもたくさん作っているけど、特に古い時代のミリタリー系の時計のデザインはきわめてシンプルで、こういった時計を見ると、これこそが「美しい時計」だ、なんて思ってしまう。つまりあんまりユニークなデザインなんて不要だ、時計はこのアーミー時計のように単純で良い、それこそがもっとも時計らしく「美しい」なんて思ってしまうこともあります。

14574763アーミー時計をモチーフにデザインした作品です

また、私は和時計も大好きだ。だから和時計からインスパイアーされた時計も作っている。和時計は、もちろん、置き時計など大きな時計のみで、もともとは腕時計は無い。

14472660和時計をモチーフにしてます

私は和時計の文字盤の美しさを腕時計に封じ込めたいという衝動から、和テイストの腕時計を作ったわけです。もし江戸時代に腕時計があったとしたら、私はこんな和時計は作っていないかもしれません。無かったから作ってみたかった。

想えば私は、複雑なデザインに取り組んでいたかと想えば、それに反目するように思いっきりシンプルなデザインの時計を作りたくなったり、しばらくするとチャーミングなレディス時計が作りたくなったり、和テイストに興味を持ったり、デストピア感の時計を作ってみたり、あっちに行ったり、こっちに来たり、気ままな旅をしながら時計を作っている感じです。

おそらくは、心の中に「美しい時計」のイメージが渦巻き、心の中を彷徨っているのだと思います。そして、どこに正解があるかはまだ分かってはいない。いえ、もともと正解は求めていないのだと思います。多くのイメージはもちろんまだ頭の中に漠然とあるだけで、具体的な形にはなっておらず、ある意味、不鮮明なものです。

時計に限らず、「美しさ」というのは様々。それは人それぞれの美しさと似ているかもしれない。それに私には「美しさ」とは必ずしも「醜さ」の反語ではないと思っています。例えば、私は絶望にも似た廃墟をこのうえなく美しいと感じることがありますから。

これからも、私の時計作りの旅はいましばらく続くだろう思います。おそらく答えは永遠に見出せないまま彷徨い続けて行くのだと思います。

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