K’s 回顧秘宝時計展 Part.5



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まず今回ご紹介するのは、ビーズを時計デザインにあしらった時計です。

ビーズは主婦の方やOLさんの間でも比較的気楽に始められる手軽なホビーとして定着してますが、確かに特殊な技法や訓練は必要ないかもしれませんが、けっこう根気のいる作業ですよね。

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バンドはビーズで、ケースにもビーズを巻いてます

テグスと呼ばれる細い糸状のものにビーズを一個一個通して行かねばならない。色のバリエーションをつけるためには異なる色のビーズの通す順番などにも神経を使います。

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ケース本体に数段のビーズを巻きつけ、けっこうキラキラ感がでますね

初めはバンド部分のみをビーズ・ブレスレットのようにして製作しようと思ったのですが、そだけでは、あまり面白くないので、本体そのものにビーズのモチーフを取り入れたいと考え、巻きつけたりとか色々とトライしてみました。

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 シルバーにそれとなくビーズをあしらった作品です

このビーズ時計はもちろん女性を中心にけっこう人気がありました。でもとにかくビーズ巻きに時間を取られるので、作業効率は悪かったですね・・・。私の歴代の作品の中では、もっとも「女の子っぽい(?)」作品だったかもしれません。

 

さて、次にご紹介するのは七宝の技法を取り入れた腕時計です。そういえば、この時計は製作に本当に大変な労力と神経を使いました。

どこかの工芸教室や学校で、実際に七宝の製品を作った経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。七宝の原料は釉薬と呼ばれる粉になっているわけです。

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ネイビーカラーの七宝の上に、七宝絵の具という顔料で手書きしたモノです

七宝とは、つまりはガラスの皮膜そのものですから、その釉薬とは、非常に小粒のガラスの粉と考えていただいて構いません。もちろん様々な色彩の釉薬があり、混ぜ合わせて好きな色を出したりすることもあります。

この釉薬を水で溶き、絵の具のようなペースト状に似た感じにして、それを色付けしたい素材に塗ってゆくわけですが、「塗る」というよりは、丹念にほんの少しづつ盛ってゆく感じかもしれません。

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文字盤、バンドともブルー系の2トーンカラーの七宝時計。

下地のシルバーがキラキラしてます

七宝には主に胴七宝と銀七宝の2種類がありますが、私が時計に採用したのは銀七宝です。銀七宝の釉薬は半透明状になっています。ですから下の金属、つまり銀が透けて見えて、きらきらした輝きが演出できるわけです。

釉薬をまぶしたモノは、もちろん炉の中に入れ、高温で焼くわけです。だいたい700~1,000くらいの温度が多いですね。そして、焼きが終わるとそのまま常温に戻るまで、じっと待っていなければなりません。それなりの時間と忍耐力が必要です。

もちろん、焼いたけど思ったような色にならず、何度もやり直したこともあります。

さらに、七宝は「裏引き」をしなくてはならないんです。つまり金属の片側だけに塗装してもダメなんです。例えば文字盤にしても、見えない裏側にも七宝を塗って焼かねばなりません。片側しか塗らないと、焼いて釉薬が拡散し、常温に戻った時、沿ってしまって最終的には割れてしまうのです。

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ニューヨークの摩天楼をイメージして製作したモノです。書き割という手法を用い、色が混ざり合わない(溶け合わない)ようにしました

実際に時計として製作する前に、いろいろと試験的に作ってみて、ようやく時計にとりかかったのは、始めてから数ヶ月後でした。

とにかくこの七宝時計の製作には神経を使いました。ガラスの薄い板を作ることと同じことですから設計上、割れや破損に強くなければなりません。もし着用中なんかに破損してお客様が怪我とかされたら一大事です。ですから作ってはみたものの、リリースせずに捨ててしまった作品や部分部品も多数ありました。

でも、焼きあがって、惚れ惚れするほど美しい作品もありました。この七宝には近い将来、再チャレンジしてみたいと考えています。

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